「それでも直したい」思い出のネックレス

アシスタントアドバイザー高井です。
先日、ネックレスの修理でご来店されたお客様とのお話です。
最初にご来店されたのは寒い冬の時期。
お持ちいただいたのは、ルイ・ヴィトンのナノグラムネックレスでした。
チェーンが1箇所切れてしまったとのことでしたが、確認してみると、素材は真鍮にメッキを施したもの。さらに長年お使いになったことで丸カン同士が擦り減り、チェーン全体がかなり弱くなっていました。
拡大した写真を一緒に見ていただきながら、
「今回切れたところは修理できます。でも、次は別のところが切れてしまうと思います。」
と、正直にお伝えしました。
それでもお客様は、
「それでも直したいんです!」
とおっしゃいました。
お話を伺うと、独身時代、一生懸命働いた自分へのご褒美として買ったネックレスなのだそうです。
それだけ思い入れのあるネックレスなら、できる限りのお手伝いをしたい。
そこでK18で同じサイズの丸カンを作り、スポット溶接で修理しました。
お渡しするときには、
「どうか大切に使ってくださいね」
とお声をかけて送り出しました。
ところが!
それから半年経った先日のこと。
お客様が再びご来店されました。
手には、あのネックレスが💦
やはり今度は別の箇所が切れてしまっていました。
今回はご自身でも何とか直そうと、瞬間接着剤で補修を試みられたそうです。その周辺には緑青と呼ばれる緑色のサビも発生していて、前回よりさらに難しい状態になっていました。
改めてお話をしていると、お客様が少し照れながら、
「前は自分で買ったって言ったんですけど……実は、おばあちゃんが半分お金を出してくれたんです」
と教えてくださいました。
それを聞いて、
「ああ、それは手放せないですよね」
と、不思議とほっこりしたのを覚えています。
独身時代に頑張った自分へのご褒美。
そして、大切なおばあさまとの思い出。
このネックレスには、その両方が詰まっていたんですね。
今回は完全な修復が難しいことをご説明したうえで、できる範囲で加工を行いました。
お客様は最後に、
「もう着けるのはやめて、大切にしまっておきます」
とおっしゃっていました。
ジュエリーの価値って、金やプラチナの重さだけではないんだな、と改めて思います。
新しいものを買った方がいいと分かっていても、それでも直したいものがあります。
自分が頑張った時間だったり、
大切な人との思い出だったり。
今回のネックレスは、そんなジュエリーに込められた「想い」を、改めて感じさせてくれた一本でした。


